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放射線測定器 RAE Systems DoseRAE2 レビュー

放射線測定器の DoseRAE2 を購入したので,購入・使用感などをまとめました.

DoseRAE2 について

DoseRAE2 はシリコンPINダイオードとCsI(TI)結晶+PINダイオードを使った放射線測定器です. カード型で,PC連携ソフト付きです.
2011/3/25に発表された,かなり新しい機種です.
(マニュアルの下の日付が2009年ですが,別の機種のマニュアルを流用して修正忘れかな?)

プレスリリース:RAE Systems、一体型の放射線検出器/線量計を発表

日本では放射線測定器=ガイガーカウンターという感じですが,GM管は使ってないので正確にはガイガーカウンターではありません.
測定可能なのはX線とγ線.このため,最近話題になっている中ではストロンチウム90には無反応です.

詳細スペックは,販売元サイトのRAE Systems DoseRAE2に記載されています.
Downloadタブから,日本語マニュアルもダウンロード可能です.(名前・メアドを入力する必要があります)

購入

aliexpress.comで購入しました.
詳しくは知らないのですが,いろいろな会社が商品を販売しているサイトのようです.楽天みたいなものでしょうか?

Supplier : YuJie Zhang の販売で,本体価格 $720.75,送料 EMS $34.93,合計 $755.68 でした.日本円で6万ちょっとです.

4/20にサイト上でクレジットカードで支払をして,その後は以下のような流れ.
中国から日本には結構時間がかかったようです.
支払から届くまでに9日ほどでした.

状態
発生日
状態 詳細 取扱店名 県名等
郵便番号
4月23日
17:02
引受   323000 CHINA
 
4月24日
20:40
国際交換支店から発送   CNWNZD CHINA
 
4月29日
0:36
国際交換支店に到着   東京国際支店 東京都
138-8799
4月29日
4:30
通関手続中   東京国際支店 東京都
138-8799
4月29日
10:13
国際交換支店から発送   東京国際支店 東京都
138-8799
4月29日
16:52
到着   ○○支店 東京都
XXX-XXXX
4月29日
18:58
お届け先にお届け済み   ○○支店 東京都
XXX-XXXX

内容物

届いたものは次の写真のようなものです. USBケーブルは止めてあったのですが,それを外した後の状態です.
(シリアル番号は消してます.)

届いたときは右上の黄色いテープ張りの箱に入っており, その箱は他の放射線測定器の箱を流用していたので,一瞬あれ?と思いましたが, この箱の中にぷちぷちにくるまれてDoseRAE2の箱が入っていました.

マニュアルは中国語版で,英語での表記もありませんでした.
こちらはWebサイトから,英語・日本語版がDLできるので,問題ありません.

2011/4/11に校正済みとの証明書が同梱されていました.

マニュアルを読むと,シリコンブーツ(カバー)があるようですが,これは付属していません.

画面は次のような感じです.
写真はバックライトOFF状態ですが,操作をすると少しの間バックライトが付きますので, 暗い中でも数値を確認することが可能です.

+マークの場所にセンサがあるようです.

標準では写真左上のようにクリップが付いています.
これは外すことができます.外すと写真右上のようにカード型になります.
付属の防護ポーチに入れる場合は,クリップを外した状態で入れる形になります.
ポーチに入れず,鉄の棒のところに直接クリップを付けることもできるようです.

大きさは名刺サイズ.写真左下のようにDSiと比べてもかなり小さいです.
厚さもCDケースくらいで,写真右下のような感じです.
クリップを外して使うのであれば,ポケット等にも簡単に入るサイズです.
重さも50gと軽いので,常時身につけていても気にならない重さです.

電源は内蔵充電電池を利用し,USB経由で充電します.1回充電で200時間使えます.

購入直後は,線量率の表示が「0μSv/h」表記になっており,小数点以下が表示されません.
積算も電源を入れた直後は0.00μSvなので,動いている?と一瞬思ってしまいました.

線量率は,設定画面で「0.00μSv/h」表記に設定でき,そうすると東京では0.06μSv/hくらいの表示となりました.

反応速度

トリウム入りタングステン電極棒を購入したので,近くに置いてテストしてみました.

放射線源として弱いせいか,反応はあまり素早くありません.また,数値も揺れています.
放射線源が小さいため,2つのセンサでの検出にずれが生じるとか,そういう理由なのかもしれませんが,原因は不明です.
後述する数値のふらつき,との関係もありそうです.
すぐ側に置くのは本来の使い方ではないと思いますので,そういうものなのかもしれません.

gslab.netのテスト動画ではそのようなことはなく, 安定しているように見えます.
線源が大きければ問題が無いのかもしれません.

1μSv/h以下くらいの弱いホットスポットを探す目的などには適さないようです.
(もともとそういう目的の製品ではないので,製品が悪いというわけではありません.)

動画はいずれも長いので,適当に飛ばしながら見てください.

2011/07/02: 密封線源を入手したので,高線量時の動画を追加しました.

放射線源を置いた後の数値変化(約15分)

放射線源を取り除いた後の数値変化(約15分)

センサのすぐ上に置いた場合(約3分)

高線量時の反応速度(約5分)

PCソフトウェア

この製品には標準でPCソフトウェアが付いてきます.

PCソフトウェアでできることは,DoseRAE2の設定と,定期的に記録した積算線量の取得・グラフ表示です.

次の画像が設定画面です.

この設定は全て本体操作でもできますが,PCソフトウェアからやると楽です.
日時もPC側の時刻と同期できます.

次の画像が積算線量を取得してグラフ表示したところです.
標準では3600秒ごとに記録なのですが,設定で60秒ごとに記録するように変更しています.
最小単位が「0.0001mSv」(=0.1μSv)なので,時々高くなるようなグラフになっています.

本来の使い方としては,1時間ごとくらいにして,長期間の積算線量の増加を残す目的で使うもののようです.
ユーザIDを割り当てて別々に管理できるので,利用者毎の積算線量を管理することができます.

その時点での線量率(0.00μSv/h)もグラフにできれば嬉しいのですが,残念ながらそういう機能は無いようです.

誤動作

ケース等には入れずに鞄にクリップで付けて持ち歩いていますが,時々誤動作することがあります.

DoseRAE2に触れたとき(服などがこすれたとき)によく起きるので,静電気が原因のように思いますが,詳細はわかりません.
他のシンチレーション式の測定器でも,電磁波や衝撃で誤動作があるという話も聞きますので, そういった外部からの影響を受けることがあるのだと思います.

メールでセンサ(+マークがあるところ)の右側あたりに衝撃を与えると誤動作すると教えて頂きました.ありがとうございます.
実際にセンサーの右あたりをコンコンという感じで叩くと,1~2μSv/hくらいに数値が上がります.
静電気ではなくて,衝撃が原因だったようです.

その後,更に使い続けていると,衝撃を与えていなくても誤動作することがありました.
服など,何かがDoseRAE2とこすれたときに起きているようですので,静電気が原因と思います.
衝撃・静電気の両方(もしくは衝撃によって静電気が生じる?)で誤動作するようです.

誤動作すると,一瞬1~2μSv/hくらいの表示になりますが,その後,徐々に数値が下がって元の値に戻ります.

測定器を安静に(?)している時はこのようなことは起きませんので,持ち歩く場合だけ注意が必要なようです.
また,例えばポケットに入れて歩いたりする程度では誤動作しません.
鞄にクリップで付けたDoseRAE2に腕などが当たったりすると,その衝撃で誤動作するようです.

鞄の中に入れておくか,ポケット等に入れておくのが良いようです.

他の方の報告

PM1703MとDoseRAE2の両方を使用されている方の記載が以下にあります.

RadioisotopeWeb

DoseRAE2は線量が変化した場合,安定するまでに5分程度かかるものの,最終的にはPM1703Mと同等の値に収束する傾向にあるそうです.
反応速度は良くないものの,値の正確性は期待できるようです.

また,2機種で同時に測定した動画がアップされています.

数値のふらつき

DoseRAE2,反応が遅いものの数値は安定するという評価で落ち着いていると思っていたのですが, 数値がふらつくというメールをいただきました.

こちらでも再現できないか試してみたところ,数値のふらつきを確認できました.

~0.30μSv/h
このあたりまでは安定します.
0.30μSv/h~2.50μSv/h
このあたりでは数値がふらつきます.
安定する数値との境界あたりでは,2倍くらいの数値と交互に表示されることが多いです. また,0.00が表示されたり,2倍以上に急に飛んで戻ったりと不思議な動作をすることもあります.
2.50μSv/h~
このあたりでまた安定します.
DoseRAE2は低線量用と,高線量用の2つのセンサがあるので,それぞれのセンサの守備範囲の境界部分でうまく計算ができていないのかもしれません.
低線量用センサはエネルギー補償無し,高線量用センサはエネルギー補償ありですので, この予想が正しければ,2.00μSv/h~くらいの領域ではエネルギー補償がされることになると思います.

利用する環境の線量によっては,この機種は問題があるかもしれません.

ふらついているときの動画

センサーの上側に放射線源を置いて,10分ほど撮影を行いました.
6:00あたりから見るとわかりやすいと思います.

測定値の比較

測定値の実際の値の比較は別ページにまとめていますので,そちらを参照してください.
参考:放射線測定器・ガイガーカウンターの測定値比較

まとめ

DoseRAE2,最近は価格が安くなってきていますが,購入される場合は以下2点の注意が必要かと思います.


小型の積算線量計としては,別ページにレビューを記載している Polimaster PM1610 の方をお勧めします.

DoseRAE2よりだいぶ価格が高いのですが,誤動作の問題はなく,(測定値本来の誤差を除いて)数値のふらつきもありません.

DoseRAE2もPM1610も空間線量を測る場合は,かなり時間をかける必要がありますので, いろいろな場所の空間線量を短時間で調べたい場合は,他の機種も検討することをお勧めします.
アラーム機能,積算機能はありませんが,HORIBA PA-1000 Radi や Mr.Gamma A2700 が感度良好です.