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線量率の変動比較 (2011/09/25)

放射線測定器・ガイガーカウンターは,その感度や内部の計算ロジックの都合上, 線量率がふらついて表示されることがあります.

そこで,6機種で安定度を調べました.

RD1008についてはshinさんから,PM1621,PM1703MAについてはたろうまるさんからそれぞれ測定器をお借りしました.
ありがとうございます.

測定方法

品川区五反田のマンション中層階の窓際で,カーペットの上に測定器を並べて, それぞれの線量率を確認しました.

時定数・サンプリング時間がある測定器はその間隔で,そうではない機種では1分ごとに数値を読み取りました.
テクノAP TA-100 は時定数を設定できますが,こちらは最長の90秒間隔に設定して数字を読み取りました.

測定機種と測定結果

測定機種と,その特性をまとめると以下のようになります.

機種名 測定タイプ 感度
(cpm/μSv/h)
時定数・サンプリング時間 スペック上での読み取り毎の
カウント数
(0.1μSv/hのとき)
スペック上での読み取り毎の
誤差
(0.1μSv/hのとき)
測定結果
堀場 PA-1000 Radi 移動平均 2000 60秒 200 ±7.1% 0.048 ± 0.001μSv/h (±2.4%)
テクノAP TA100 時定数 800 90秒
(変更可能)
120 ±9.1% 0.050 ± 0.005μSv/h (±9.4%)
RAESystems DoseRAE2 時定数? 不明 不明 不明 不明 0.095 ± 0.002μSv/h (±2.3%)
RADEX RD1008 移動平均 100~300?
200と仮定
2分48秒 56 ±13.4% 0.080 ± 0.003μSv/h (±4.4%)
Polimaster PM1621 積算 不明 不明 不明 0.058 ± 0.002μSv/h (±2.9%)
Polimaster PM1703MA 積算 6000 600 0.050 ± 0.000μSv/h (±0.0%)

移動平均タイプというのは,一定時間ごとの数値を表示するタイプです.
一定時間は利用者が選択できたり,線量率に応じて自動選択される場合があります.

時定数タイプというのは,アナログ的な計算で直近の測定結果を重視するタイプです.
時定数の時間が経過すると約63%変化し,2倍経過で86%,3倍経過で95%まで変化します.

積算タイプというのは,線量率が変化したと検知しない限り,より長時間の測定結果を元に正確な数値を表示しようとするタイプです.
こちらは移動しないときは正確な数値が読み取れる反面,移動しながら使う場合は,表示されている線量率がどの範囲の測定結果なのかわかりにくいという欠点があります.

DoseRAE2については,時定数タイプで自動選択される機種だと思いますが, 細かい条件がマニュアル等に記載されておりませんので,?付きで記載しました.

測定結果について

PA-1000 Radi と RADEX RD1008 はスペック上の数値より良い結果が出ています.
実力はスペック以上にあるのかもしれません.
RD1008 は 200cpm/μSv/h と仮定したので,それより高感度である可能性もありそうです.

TA100 はスペックより若干悪い結果となっていますが, 数値がふらつく問題は発売元でも認識しているようで,ファームアップで改良されるとのことです.

測定したのはファームアップ前ですので,この機種の数値は新しいファームウェアにすれば安定する可能性があります.
この測定後にファームウェアアップデートのために送り返したところなので, 後日,再度の測定を行いたいと思います.

Polimaster は長時間の測定結果から線量率を計算するので,今回のように長時間(1時間くらい)測るとかなり良い性能になります.
また,詳細は不明ですが,DoseRAE2 もこのくらいの線量では安定した数値となるようです.

測定数値を比べると,DoseRAE2 と RD1008 が高めの線量を表示しています.
DoseRAE2 は校正が高線量側のセンサのみで,低線量側は校正をされていないためい不正確…という可能性がありそうです.
RD1008 も高めですが,こちらは自己ノイズが多いのかもしれません.
(自己ノイズについて,後日測定してみたいと思います.)

テクノAP TA100について

テクノAP TA-100 については,数値のふらつきがかなり激しいです.

機種毎の測定結果の詳細

各機種の測定結果とグラフです.
グラフ下のリンクをクリックすれば元データを確認できます.

堀場 PA-1000 Radi


元データ

ばらつきはありますが,±0.01μSv/hの範囲です.
他機種と違い,この機種は小数点以下3桁まで表示しますので, グラフ上では点がばらついていますが,0.01μSv/h単位に四捨五入した数値で考えれば, かなり安定していると言えると思います.

テクノAP TA100


元データ

かなり数値がふらついています.
ファームアップで改善するそうですので,それに期待したいと思います.

表示を見ていても,急に0.02μSv/hくらい上がったりすることがありますので, 内部のロジックの問題か,CdTe検出器の特性による影響などが考えられそうです.
(CdTe検出器は分解能は高いですが,時々電圧を掛けるのを止めないといけないなど扱いが難しい面があるようです.)

RAESystems DoseRAE2


元データ

時定数が不明ですが,おそらくかなり長めの時定数を持っているのだと思います.
途中ちょっと下がりましたが,おおむね安定した数値を示す傾向にあります.

RADEX RD1008


元データ

サンプリング時間が2分48秒と長めですが,そのおかげもあってかなり数値は安定しています.
1度0.10μSv/hを表示していますが,それ以外は安定しています.

Polimaster PM1621


元データ

積算タイプのため,時間が経過すると安定します.

最初はたまたま線量が低かったのか,その後上昇した後に安定しました.

Polimaster PM1703MA


元データ

高感度&積算タイプのためか,始終0.05μSv/hの表示でした.

たまたま運良く,電源ON後に0.05ちょうどくらいの線量を計測できたのかもしれませんが, それにしても安定しています.

まとめ

1時間程度かけて測定しましたが,1回だけの測定ですので,結果はたまたまという可能性もあります.
それでも,結構機種毎の違いなどが見えたのではないかと思います.

TA100がファームアップから戻ってきたら,PDS-100GN/IDを加えて,もう1回測定をやってみたいと思います.


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