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線量率の変動比較・第3回 (2011/10/10)

放射線測定器・ガイガーカウンターは,その感度や内部の計算ロジックの都合上, 線量率がふらついて表示されることがあります.

そこで,8機種で安定度を調べました.

Mr.Gamma A2700 については@hajime4567さんから, RD1503 については@aki_1goさんから, RD1008については 晴れなん堂 さんから,PM1621,PM1703MAについてはたろうまるさんからそれぞれ測定器をお借りしました.
ありがとうございます.

測定方法

品川区五反田のマンション中層階の窓際で,カーペットの上に測定器を並べて, それぞれの線量率を確認しました.

今回は動画撮影をして,後で動画を見ながら数値を読み取ったため, Polimaster機種は少し立てた状態で測定しました.

測定時間は3時間強です.

測定機種と測定結果

測定機種と,その特性をまとめると以下のようになります.
測定結果は,3時間強での結果なので,かなり誤差が少ない結果となっています.

機種名 測定タイプ 感度
(cpm/μSv/h)
時定数・サンプリング時間 測定結果
テクノAP TA100U 時定数 800 60秒 0.058 ± 0.003μSv/h (±4.6%)
RADEX RD1008 移動平均 100~300? 2分48秒 0.075 ± 0.003μSv/h (±3.7%)
クリアパルス Mr.Gamma A2700 移動平均 1000以上 60秒 0.044 ± 0.001μSv/h (±1.5%)
堀場 PA-1000 Radi 移動平均 2000 60秒 0.049 ± 0.001μSv/h (±1.3%)
RAESystems DoseRAE2 時定数? 不明 不明 0.055 ± 0.001μSv/h (±1.3%)
Polimaster PM1621 積算 150 0.057 ± 0.001μSv/h (±1.8%)
Polimaster PM1703MA 積算 6000 0.053 ± 0.001μSv/h (±1.2%)
RADEX RD1503 移動平均 132 2分40秒 0.094 ± 0.004μSv/h (±4.7%)

移動平均タイプというのは,一定時間ごとの数値を表示するタイプです.
一定時間は利用者が選択できたり,線量率に応じて自動選択される場合があります.

時定数タイプというのは,アナログ的な計算で直近の測定結果を重視するタイプです.
時定数の時間が経過すると約63%変化し,2倍経過で86%,3倍経過で95%まで変化します.

積算タイプというのは,線量率が変化したと検知しない限り,より長時間の測定結果を元に正確な数値を表示しようとするタイプです.
こちらは移動しないときは正確な数値が読み取れる反面,移動しながら使う場合は,表示されている線量率がどの範囲の測定結果なのかわかりにくいという欠点があります.

DoseRAE2については,時定数タイプで自動選択される機種だと思いますが, 細かい条件がマニュアル等に記載されておりませんので,?付きで記載しました.

全機種測定結果グラフ


※機種毎にグラフの表示をON/OFFできます
TA100U RD1008 Mr.Gamma PA-1000 Radi DoseRAE2 PM1621 PM1703MA RD1503

機種毎の測定結果の詳細

各機種の測定結果とグラフです.
グラフ下のリンクをクリックすれば元データを確認できます.

テクノAP TA100U


元データ

かなりばらつきがあります.
800cpm/μSv/h の感度にしてはばらつきが大きいので, CdTe素子の扱いにくさの問題などがあるのかもしれません.
線量率の測定をする場合は,多めに平均を取らないと安定した結果が得られないようです.
分解能の高いスペクトル用の測定器と考えた方が良いのかもしれません.

RADEX RD1008


元データ

サンプリング時間が2分48秒と長めですが,そのおかげもあってかなり数値は安定しています.

クリアパルス Mr.Gamma A2700


元データ

ばらつきはありますが,ほぼ±0.01μSv/hの範囲です.
他機種と違い,この機種は小数点以下3桁まで表示しますので, グラフ上では点がばらついていますが,0.01μSv/h単位に四捨五入した数値で考えれば, かなり安定していると言えると思います.

堀場 PA-1000 Radi


元データ

Mr.Gamma とほぼ同等の傾向です.

RAESystems DoseRAE2


元データ

時定数が不明ですが,おそらくかなり長めの時定数を持っているのだと思います.
1回0.07を表示していますが,それ以外は0.05と0.06しか表示しておらず,安定しています.

Polimaster PM1621


元データ

積算タイプのため,時間が経過すると安定します.
今回は一度急激に線量が下がりました.
たまたま放射線の検出回数が少なかったときに統計がリセットされたのだと思います.

積算タイプなので,数値が変動しないことを確認してから数値を読み取れば,正確な線量が把握できます.

Polimaster PM1703MA


元データ

高感度&積算タイプのため,非常に安定した表示です.
小数点以下2桁までしか表示されませんが,後半で少し0.06が出ていますので, 0.054μSv/h前後の線量なのだと思います.

RADEX RD1503


元データ

サンプリング時間が160秒と長めですが,感度が低いため数値のばらつきがそれなりにあります.
このくらいの低線量の環境で,正確な線量を知りたい場合は,何回か平均する必要があるようです.

まとめ

3時間程度かけて測定しましたが,1回だけの測定ですので,結果はたまたまという可能性もあります.
それでも,結構機種毎の違いなどが見えたのではないかと思います.

前回・前々回の測定結果も合わせて参考にして頂ければと思います.


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