放射線測定器・ガイガーカウンターは,その感度や内部の計算ロジックの都合上,
線量率がふらついて表示されることがあります.
そこで,7機種で安定度を調べました.
TS100については
@drnamichan
さんから,
PM1208Mについてはたろうまるさんから,
RD1008については
晴れなん堂
さんから,それぞれ測定器をお借りしました.
ありがとうございます.
品川区五反田のマンション中層階の窓際で,カーペットの上に測定器を並べて,
それぞれの線量率を確認しました.
今回は動画撮影をして,後で動画を見ながら数値を読み取ったため,
PM1703MAは少し立てた状態で測定しました.
測定時間は2時間弱です.
測定機種と,その特性をまとめると以下のようになります.
測定結果は,2時間弱での結果なので,かなり誤差が少ない結果となっています.
機種名 | 測定タイプ |
感度 (cpm/μSv/h) |
時定数・サンプリング時間 | 測定結果 |
---|---|---|---|---|
Polimaster PM1703MA | 積算 | 6000 | - | 0.060 ± 0.000μSv/h (±0.5%) |
Polimaster PM1208M | 積算 | ? | - | 0.070 ± 0.000μSv/h (±0.0%) |
テクノAP TS100 | 時定数 | 25000 | 60秒(1~999秒変更可能) | 0.048 ± 0.001μSv/h (±2.2%) |
テクノAP TA100U | 時定数 | 800 | 60秒 | 0.057 ± 0.003μSv/h (±5.7%) |
堀場 PA-1000 Radi | 移動平均 | 2000 | 60秒 | 0.062 ± 0.001μSv/h (±1.5%) |
RADEX RD1008 | 移動平均 | 100~300? | 2分48秒 | 0.079 ± 0.003μSv/h (±4.3%) |
DoseRAE2 | 積算? | ? | ? | 0.103 ± 0.001μSv/h (±0.9%) |
移動平均タイプというのは,一定時間ごとの数値を表示するタイプです.
一定時間は利用者が選択できたり,線量率に応じて自動選択される場合があります.
時定数タイプというのは,アナログ的な計算で直近の測定結果を重視するタイプです.
時定数の時間が経過すると約63%変化し,2倍経過で86%,3倍経過で95%まで変化します.
積算タイプというのは,線量率が変化したと検知しない限り,より長時間の測定結果を元に正確な数値を表示しようとするタイプです.
こちらは移動しないときは正確な数値が読み取れる反面,移動しながら使う場合は,表示されている線量率がどの範囲の測定結果なのかわかりにくいという欠点があります.
各機種の測定結果とグラフです.
グラフ下のリンクをクリックすれば元データを確認できます.
高感度で積算タイプのため非常に安定しています.
こちらも積算タイプのため非常に安定しています.
腕時計型のため,感度がかなり低いこともあり,放射線量が変化してもなかなか表示値が変わらないため,
このような変動比較をしても変化はしないようです.
25000cpm/μSv/hで,今回の中では最大の感度があります.
表示は小数点以下3桁ですが,だいたい±0.01μSv/hくらいの範囲にばらついています.
このくらいの低線量の場合は,もうちょっと長めの時定数にした方が読み取りやすいようです.
(また前回と同じコメントですが…)
かなりばらつきがあります.
800cpm/μSv/h の感度にしてはばらつきが大きいので,
CdTe素子の扱いにくさの問題などがあるのかもしれません.
線量率の測定をする場合は,多めに平均を取らないと安定した結果が得られないようです.
分解能の高いスペクトル用の測定器と考えた方が良いのかもしれません.
ばらつきはありますが,ほぼ±0.01μSv/hの範囲です.
他機種と違い,この機種は小数点以下3桁まで表示しますので,
グラフ上では点がばらついていますが,0.01μSv/h単位に四捨五入した数値で考えれば,
かなり安定していると言えると思います.
サンプリング時間が2分48秒と長めですが,そのおかげもあって移動平均タイプの中では安定している方だと思います.
ほぼ±0.01μSv/hの範囲で,時々±0.02μSv/hの範囲まで出る感じです.
内部のロジックが不明ですが,ほとんど0.10と0.11のみの表示で安定しています.
2時間程度かけて測定しましたが,1回だけの測定ですので,結果はたまたまという可能性もあります.
それでも,結構機種毎の違いなどが見えたのではないかと思います.
以前の測定結果も合わせて参考にして頂ければと思います.