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放射線測定器の感度について
放射線測定器には感度があり,一般的に高感度な機種ほど高価です.
また,低価格の放射線測定器の場合は,
- 表示するたびに値がふらついて正しい数値が分かりにくい
- 表示される値は安定しているが徐々に変化し,落ち着くまでに時間がかかる
のどちらかを感じる場合も多いと思います.
放射線はランダムに飛んできますが,感度が低い場合,検出できる回数が少なくなります.
そうすると,ランダムさの影響によって,測定値が大きく揺らいでしまいます.
時間をかけて検出回数を増やせば安定しますが,数字がすぐに変化しなくなりますし,
時間をかけなければ素早く反応しますが,数値がふらついてしまいます.
このページでは放射線をランダムに検出する動作をシミュレーションし,
放射線測定器がどのように数値を計算し,表示するか確認することができます.
IEは動作が遅いため,Google Chrome か
Firefox での閲覧をお勧めします.
関連ツール:放射線測定器(ガイガーカウンター)の誤差シミュレーション
関連ツール:放射線測定器(ガイガーカウンター)の一定誤差での測定値のぶれシミュレーション
関連ツール:放射線測定器(ガイガーカウンター)の一定測定時間での測定値のぶれシミュレーション
放射線測定器の感度シミュレーションツール
※シミュレーション時間は600秒間(10分間)です
低感度で値がふらつく・反応が遅い理由
まず最初に,5~10万円の価格帯のガイガーカウンタを想定してシミュレーションしてみます.
このクラスの感度は,だいたい100cpm/μSv/hです.
東京の空間線量として,0.1μSv/hの環境で測定を行うとします.
測定器は10秒毎にその10秒間で検出した放射線の数からμSv/hを計算して表示すると,次のようになります.
クリックするとグラフにスクロールし,グラフが更新されます.
黄色がシミュレーション時に決めた放射線量です.
実際に放射線を検出した回数を,1秒毎に赤い点で表示しています.(左側のcps目盛りで見ます)
青い線が,測定器に表示される数値です.(左側のμSv/h目盛りで見ます)
シミュレーションするたびに結果が変わりますが,0μSv/hになったり,かなり高いにあったり値のばらつきがひどい結果になったと思います.
グラフの上に,最大・最小と,表示値の幅(最大と最小の差)を出していますが,この表示値の幅がかなり大きいと思います.
0.1μSv/hを計るのに,表示値の幅が0.3μSv/hもあったらどう数値をみていいかわからなくなってしまいます.
そこで,過去ある程度の時間の平均を取るようにして,数値が落ち着くようにします.
過去長い時間の平均を取るほど数値が安定していき,表示値の幅も小さくなることがわかると思います.
しかし,過去の長い時間を使って平均を取ると,今度は数値が変化したときの反応が遅くなってしまいます.
最初0.1μSv/hで,途中から0.5μSv/hに線量が上がった場合を想定してみます.
過去300秒では明らかに遅くなっているのがわかると思います.
また,過去60秒くらいでは,そもそもの測定値のふらつきが大きいため,遅れていると言えるのか微妙な具合であることもわかります.
このシミュレーションではかなり酷い結果となりますが,線量が高かったり,感度が高ければ改善します.
線量が高い場所では,感度が低い機種でも良く動作しますが,逆に線量が低い場所では,
反応速度や測定値の安定の面から感度が高いものが良いということがわかると思います.
食品などの微量の放射線を低感度では検出できない理由
食品の測定が難しい理由は2つあります.
- 感度が低くて細かい数値の差を確認できない
- 測定環境にある放射線量が高くて食品の放射線量が判断できない
感度が低い場合,先ほどのシミュレーションでもわかるとおり,数値が結構変動してしまいます.
基準値ぎりぎりの食品では,だいたい0.01μSv/hくらいの大きさの放射線がでます.
東京の空間線量が0.1μSv/hくらいですので,0.1μSv/hの環境に,0.01μSv/hの食品を置いて,
その差を確認できるかシミュレーションしてみます.
線量が 0.10μSv/h → 0.11μSv/h と変わることが読み取れれば,汚染食品か判断できることになります.
何度かシミュレーションを更新して,判断できるかどうか確認してみてください.
感度が低いと全くわからず,10000cpm/μSv/hあっても判断するのが厳しいということがわかると思います.
もっと時間をかけて測定するとどうでしょうか.
1分更新・過去300秒にすると,10000cpm/μSv/hなら判断できるかな?くらいに改善します.
1000cpm/μSv/hくらいですと時間をかけても駄目なことがわかります.
食品の測定には,測定環境の放射線量を遮蔽するのが一番効果的です.
仮に空間線量を1/10にできた場合,どうなるかシミュレーションしてみます.
空間が 0.01μSv/h になりますから,0.01μSv/h → 0.02μSv/h と変化することが読み取れれば,
汚染食品か判断できることになります.
こうすると,10000cpm/μSv/hあればはっきりと違いが読み取れます.
一方,1000cpm/μSv/hくらいでは,違いが読み取れそうなとき・読み取れなさそうなときがあり,確実な判断は厳しい事もわかります.
放射線測定器・ガイガーカウンターの実際の処理
実際の放射線測定器・ガイガーカウンターがどのように処理しているかは,
機種によって,マニュアルに記載されているものもあれば,
記載されていないものもあります.
画面の更新間隔は一定でも,過去何秒間の平均で計算するかを,
そのときの線量に応じて変化させているものもあります.
低線量(低いμSv/h)では長い時間の平均にしないと数値が安定しませんが,
高線量(高いμSv/h)では短い時間でも数値が安定します.
このため,低線量では長い時間,高線量では短い時間とすると使い勝手が良くなります.
また,単純に平均で計算しているだけではない機種もあるかもしれません.
線量が増えたときなどは,その先の増加を予測して早めにアラートを出すなど,
機種毎に工夫があるものと思います.
実際の機種で必要な移動平均の秒数
2chのガイガーカウンター購入相談スレにて,
各機種毎に必要な移動平均をまとめてくださった方がいましたので,若干編集させていただき,以下に記載させていただきました.
暫定基準値レベルの食品汚染(0.01μSv/hの差)を何秒の移動平均で検出できるかどうか
0.1μSv/hの変化
バックグラウンドが高い場合