Polimasterシリーズは,時定数やサンプリング時間が無く,誤差を%表示するのが特徴です.
多くの機種はサンプリング時間といって,一定の時間が決まっており,その時間内で測定された放射線から測定値を表示します.
30秒,60秒,160秒など様々な時間がありますが,いずれにしてもその時間待てば最新の数値を知ることができます.
また,今表示されている値は,過去何秒間のものかもすぐに理解でき,わかりやすいというメリットがあります.
その代わり,一定時間での検出数で数値を出すために,どうしても低線量の時に測定値がぶれてしまいます.
参考:放射線測定器(ガイガーカウンター)の一定測定時間での測定値のぶれシミュレーション
一方,Polimasterシリーズには時間設定がなく,代わりに誤差を%表示します.
同じくらいの線量の場所にいると,計算値を出す時間をどんどん延ばしていき,過去の長時間の測定値から数値を表示します.
同時に誤差がどのくらいかを表示するので,特定の場所での線量を正確に知ることができます.
過去の計測値をリセットできるので,測定したい場所に行ったら一度リセットして,
あとは誤差が満足するくらいに下がるまで測定器をそのまま置いておけば良いだけです.
誤差と測定時間の関係は,150cpm/μSv/hのPM1405だと以下のようになります.
(PM1610は45cpm/μSv/hなので,約3倍の時間がかかります)
誤差 | 測定時間 | ||||
---|---|---|---|---|---|
0.1μSv/h | 0.2μSv/h | 0.5μSv/h | 1.0μSv/h | 2.0μSv/h | |
20% | 1:40 | 0:50 | 0:20 | 0:10 | 0:05 |
15% | 2:58 | 1:29 | 0:36 | 0:18 | 0:09 |
10% | 6:40 | 3:20 | 1:20 | 0:40 | 0:20 |
5% | 26:40 | 13:20 | 5:20 | 2:40 | 1:20 |
まずは10cm移動した場合です.
線量が大きく変わるので,5~10秒くらいで誤差がリセットされ,すぐに追従します.
線量が下がったときは誤差が99%になっているので完全にリセットされていますが,
線量が上がったときは誤差は少し上がっただけで99%までは上がらないようでした.
このくらいの変化があれば,短時間で追従するようです.
5cm移動した場合です.
線量が変わった後は,線量に合わせるように徐々に数値が変化していきます.
しかし,ある程度時間がたったところで,リセットの必要性を判断するのか,
誤差が上がり線量が急に変わります.
リセットまで1~2分くらいの遅延があるようです.
このくらいの線量変化では,追従に少しの時間がかかるようです.
3cm移動した場合です.
線量が下がった場合は,リセット動作は起きませんでした.
徐々に数値が下がっていき,誤差も下がる一方です.
線量が上がったときは,3分後くらいに誤差が少し上がりリセット動作がありました.
なるべく誤差はリセットせずに線量を徐々に変えていき,
一定の閾値(?)になると誤差を上げて数値を大幅に変化する動作をするようです.
今回は上がるときだけリセットが起きましたが,
このくらいの差だとちょうどリセットが起こる条件の境界付近なのかもしれません.
下がるときはリセットが起きやすい可能性もありますが,1回しかテストしていないのでそこまではわかりませんでした.
(動画で取ったデータから1秒毎を手作業で書き出しているので複数回のテストは無理でした(^^;)
2cm移動した場合です.
上がるときも下がるときもリセット動作は起きませんでした.
下がるときより上がるときの方が緩やかなようです.
これは,下がるときより上がるときの方が誤差が小さくなっているためかもしれません.
誤差が小さいということは,それだけ多くの放射線の検出から結果を出していることになりますから,
長時間の測定結果から数値を出していることになります.
ですので,誤差が小さい時は,過去の長い時間から算出するために数値の変化が緩やかになる傾向があるのだと思います.
上がる・下がるの順序を逆にすれば,下がるときの方が緩やかになる可能性があります.
4パターンほどの測定結果から,以下のように推測できます.