放射線測定器・ガイガーカウンターは，その感度や内部の計算ロジックの都合上，
線量率がふらついて表示されることがあります．
そこで，7機種で安定度を調べました．
Coliy RM600 については@tokutokugeigerさん（トクトクドットトゥーユーさん）から，
RD1008については
晴れなん堂 楽天市場店
さんから，
それぞれ測定器をお借りしました．
ありがとうございます．
品川区五反田のマンション中層階の室内で測定器を並べて，
それぞれの線量率を確認しました．
測定時間は約2時間です．
測定機種と，その特性をまとめると以下のようになります．
測定結果は，約2時間の結果なので，かなり誤差が少なくなっています．
| 機種名 | 測定タイプ |
感度 （cpm/μSv/h） |
時定数・サンプリング時間 | 測定結果(95%信頼区間) |
|---|---|---|---|---|
| 堀場 PA-1000 Radi | 移動平均 | 2000 | 60秒 | 0.052 ± 0.001μSv/h (±1.5%) |
| Polimaster PM1703MA | 積算 | 6000 | － | 0.055 ± 0.001μSv/h (±1.7%) |
| DoseRAE2 | 不明 | 不明 | 不明 | 0.059 ± 0.001μSv/h (±1.4%) |
| テクノAP TA100U | 時定数 | 800 | 90秒に設定 | 0.059 ± 0.003μSv/h (±5.4%) |
| Coliy RM600 | 移動平均 | 350 | 60秒に設定 | 0.098 ± 0.004μSv/h (±3.8%) |
| RADEX RD1008 | 移動平均 | 100～300？ | 2分48秒 | 0.076 ± 0.003μSv/h (±4.5%) |
移動平均タイプというのは，一定時間ごとの数値を表示するタイプです．
一定時間は利用者が選択できたり，線量率に応じて自動選択される場合があります．
PKC-107は1回のみの測定で連続測定できないので，平均タイプと記載しています．
時定数タイプというのは，アナログ的な計算で直近の測定結果を重視するタイプです．
時定数の時間が経過すると約63%変化し，2倍経過で86%，3倍経過で95%まで変化します．
積算タイプというのは，線量率が変化したと検知しない限り，より長時間の測定結果を元に正確な数値を表示しようとするタイプです．
こちらは移動しないときは正確な数値が読み取れる反面，移動しながら使う場合は，表示されている線量率がどの範囲の測定結果なのかわかりにくいという欠点があります．
各機種の測定結果とグラフです．
グラフ下のリンクをクリックすれば元データを確認できます．
ばらつきはありますが，ほぼ±0.01μSv/hの範囲です．
他機種と違い，この機種は小数点以下3桁まで表示しますので，
グラフ上では点がばらついていますが，0.01μSv/h単位に四捨五入した数値で考えれば，
かなり安定していると言えると思います．
高感度で積算タイプのため非常に安定しています．
内部のロジックが不明ですが，0.05～0.07の間で安定しています．
800cpm/μSv/h の感度にしてはばらつきが大きい感じです．
スペクトル用の測定器としては良いのですが，線量率を見る場合はGM管の機種と同じくらいの印象です．
350cpm/μSv/hと，GM管の機種の中では高い感度を持っています．
GM管の機種はサンプリング時間が長めのものが多いですが，RM600はサンプリング時間60秒のため若干ばらつきが大きいようです．（60秒が最大の設定値です）
この機種にはタイマーを使って一定時間のカウント数を測ることができますので，
更に安定した線量率を求めたい場合は，タイマーモードでカウント数を出してから，Sv/hへ換算する方法が使えます．
もしくは，複数回測定して，平均値を求めるのが良さそうです．
また，β線も検出するGM管のためもあってか，他機種よりは若干高い線量率となっているようです．
サンプリング時間が2分48秒と長めですが，そのおかげもあって移動平均タイプの中では安定している方だと思います．
ほぼ±0.01μSv/hの範囲で，時々±0.02μSv/hの範囲まで出る感じです．
2時間程度かけて測定しましたが，1回だけの測定ですので，結果はたまたまという可能性もあります．
それでも，結構機種毎の違いなどが見えたのではないかと思います．
以前の測定結果も合わせて参考にして頂ければと思います．
