放射線測定器・ガイガーカウンターは,その感度や内部の計算ロジックの都合上,
線量率がふらついて表示されることがあります.
そこで,5機種で安定度を調べました.
ガンマイレブンについては@8446ntさん から,
RD1008については
晴れなん堂 楽天市場店
さんから,
それぞれ測定器をお借りしました.
ありがとうございます.
品川区五反田のマンション中層階の室内で測定器を並べて,
それぞれの線量率を確認しました.
測定時間は約6時間です.
今回は表示値のばらつきから感度を逆算したかったので,多めに頑張りました.
測定機種と,その特性をまとめると以下のようになります.
測定結果は,約6時間の結果なので,かなり誤差が少なくなっています.
以下の中で,TA100Uは時定数タイプで60秒計算のため,移動平均の機種に比べてばらつきが出やすい条件となっています.
機種名 | 測定タイプ |
感度 (cpm/μSv/h) |
時定数・サンプリング時間 | 測定結果(95%信頼区間) |
---|---|---|---|---|
Polimaster PM1703MA | 積算 | 6000 | - | 0.060 ± 0.000μSv/h (±0.0%) |
堀場 PA-1000 Radi | 移動平均 | 2000 | 60秒 | 0.051 ± 0.000μSv/h (±0.8%) |
RADEX RD1008 | 移動平均 | 100~300? | 2分48秒 | 0.077 ± 0.002μSv/h (±2.4%) |
ヤマガタ共同 ガンマイレブン | 移動平均 | 100 | 60秒 | 0.049 ± 0.002μSv/h (±4.0%) |
テクノAP TA100U | 時定数 | 800 | 自動(実質60秒)に設定 | 0.055 ± 0.002μSv/h (±3.6%) |
移動平均タイプというのは,一定時間ごとの数値を表示するタイプです.
一定時間は利用者が選択できたり,線量率に応じて自動選択される場合があります.
時定数タイプというのは,アナログ的な計算で直近の測定結果を重視するタイプです.
時定数の時間が経過すると約63%変化し,2倍経過で86%,3倍経過で95%まで変化します.
積算タイプというのは,線量率が変化したと検知しない限り,より長時間の測定結果を元に正確な数値を表示しようとするタイプです.
こちらは移動しないときは正確な数値が読み取れる反面,移動しながら使う場合は,表示されている線量率がどの範囲の測定結果なのかわかりにくいという欠点があります.
各機種の測定結果とグラフです.
グラフ下のリンクをクリックすれば元データを確認できます.
高感度で積算タイプのため非常に安定しています.
今回は0.06μSv/hから全く動きませんでした.
ばらつきはありますが,ほぼ±0.01μSv/hの範囲です.
他機種と違い,この機種は小数点以下3桁まで表示しますので,
グラフ上では点がばらついていますが,0.01μSv/h単位に四捨五入した数値で考えれば,
かなり安定していると言えると思います.
サンプリング時間が2分48秒と長めですが,そのおかげもあって移動平均タイプの中では安定している方だと思います.
ほぼ±0.01μSv/hの範囲で,時々±0.02μSv/hの範囲まで出る感じです.
感度が100cpm/μSv/hほどで,移動平均60秒のため,それなりに数値がばらついています.
このくらいの低線量で測定する場合は,何回かの表示値の平均を取る必要がありそうです.
この機種の仕様には,0.02μSv/hあたり2カウント(1μSv/hあたり100カウント)と記載されており,1分あたりのカウント数なのかがはっきりしませんでしたが,
測定値のばらつきから感度を逆算すると,133cpm/μSv/h となりました.
仕様としては,1分あたりのカウント数を記載していたという理解でよさそうです.
感度推定ツールでの計算結果・ヒストグラム
800cpm/μSv/h の感度にしてはばらつきが大きい感じです.
今回は時定数60秒に設定してしまったので,他の機種に比べるとばらつきがでやすい設定となってしまっています.
2時間程度かけて測定しましたが,1回だけの測定ですので,結果はたまたまという可能性もあります.
それでも,結構機種毎の違いなどが見えたのではないかと思います.
以前の測定結果も合わせて参考にして頂ければと思います.
また,上記の測定結果から感度を逆算した結果を,
放射線測定器(ガイガーカウンター)の測定値のヒストグラム表示と感度の推定のツールの使用例の欄に追加しています.