放射線測定器 ヤマガタ共同 ガンマイレブン を@8446nt さんのご好意により貸して頂きましたので,
使用感などをまとめてみました.
シンチレーション式の放射線測定器です.
価格は52,500円(税込)です.
特徴としては,
届いたものは次の写真のようなものです.
本体と別に,ソフトケースもありました.
マニュアルにはソフトケースについて記載が無いのですが,
ヤマガタ共同の本社で購入したときに箱とは別にソフトケースも渡されたとのことです.
サービスで付けているのかもしれません.
箱を開けると,測定器本体,説明書,クリーニング用クロス,乾電池が入っています.
測定器は右のように更にビニール袋に入っており,この袋は開封したことが判るようになっていました.
本体裏側に電池蓋が有り,単4電池×2本で動作します.
ソフトケースは右のように,測定器上部のセンサー部分はカットされています.
柔らかいゴムっぽい素材なので,そのまま測定器を中に押し込んでカバーをセットします.
測定器の画面はこのような感じで,シンプルな表示です.
画面下にはバーがあるのですが,線量率が低いため,隠れてあまり見えていません.
0.02μSv/hごとに1ドットのバーが表示され,5ドットごと(0.1μSv/h)にブロックができ,
全部で16ブロック(1.6μSv/h)まで表示されるようです.
大きさは,DSi より小さいくらいで.厚さもあまりありません.
PM1703MA,RD1008,PA-1000 Radi と比べても小さめなことが判ります.
また,厚さもかなり薄いです.
同じようなケースを使っているテクノAP TA100 と比べても,厚さは薄くなっていて,
比較的コンパクトな大きさになっています.
この機種は60秒の移動平均を表示するので,より正確な線量率を知りたい場合は,
自分で平均計算をする必要があります.
当サイトの
平均計算ツール(測定値の平均計算ツール)を使って次のように測定します.
真ん中の h/y ボタンを押すと,表示単位が μSv/h と mSv/y で切り替わります.
1年間は8760時間ですので,μSv/h を8760倍して1000で割った数値が mSv/y として表示されるようです.
移動平均時間などはそのままで,単純にその時点での表示値の mSv/y 表示となっています.
年間の被曝量換算が手軽に出来るので,年間1mSvとか10mSvなどの目標値が有る場合に,
今の線量率がどの程度か判断するのに便利だと思います.
左の - ボタンを押すと,バックグラウンド減算機能によって,押した時点を基準として,そこからの相対値が表示されるようになります.
普段の環境で-ボタンを押し,気になる場所に移動すれば,どのくらい線量率が高いのかが差分で表示されます.
このボタンを押したときのバックグラウンド線量率は,移動平均の60秒ではなく,過去3分間くらいのデータが使われるようです.
バックグラウンドがより長時間の結果で減算されるので,目視で差分計算するより便利に使えると思います.
ただ,バックグラウンドが十分低い場合(0.10μSv/h以下とか),この機種では3分間の計算でも結構数値がばらついてしまうと思います.
なるべく正確に測りたい場合は,バックグラウンドも,測定対象も,それぞれ複数回数値を読み取り,自分で平均計算する方がよいかと思います.
測定回数はかなり必要になってしまいますが,
当サイトの 放射線測定器(ガイガーカウンター)の測定値の平均差の計算ツール を使うと,
有意な差が出ているかも確認できます.
正確に測りたい場合はこちらを使ってみて下さい.
画面下にはバーが有り,0.02μSv/hごとに1ドット増えるようになっています.
5ドット毎(0.10μSv/hごと)にブロックが別れており,16ブロックあるので~1.6μSv/hまで表示されます.
画面の線量率表示は10秒後と更新ですが,バーは5秒後と更新になっているので,
線量率の高い場所を探す場合などは,バーを見て測定するとより早く判断ができるようになっています.
(ただし,~1.6μSv/hなので,それより高いところでは使えません)
バーの表示も2回に1回は線量率の表示に合うようですので,こちらも60秒の移動平均で計算しているようです.
この機種は過去60秒の平均を10秒毎に表示するので,反応速度などはなく,常に60秒待てばその場所の数値になります.
この60秒毎の平均値は,結構ぶれがあります.
室内の0.06μSv/hくらいの線量率と,近くに線源を置いて0.40μSv/h程度にした場合で,
PA-1000 Radi とブレを比べると次のようになりました.
なお,PA-1000 Radi はガンマイレブンの約2倍の価格の製品で,感度については20倍程度の差があります.
東京都品川区のマンション室内で,PA-100 Radi とガンマイレブンで比較してみました.
こちらは同条件での比較ですが,線量率は一致しました.
元データ
当たり前のことですが,Radiに比べるとだいぶばらつきが大きくなっています.
ガンマイレブンで,5回平均を取って測定した場合は,次のようになります.
元データ
同様に10回平均だと次のようになります.
元データ
感度差が20倍ということで,10回程度平均すると近しいばらつきになります.
ガンマイレブンとPA-1000 Radiの真ん中に線源を置いて,だいたい同じ距離くらいにしてみました.
線源との距離に差がありますし,横方向からの放射線を測定しているので,2つの測定器の表示値には結構差があります.
2つの測定器での条件が異なるので,同じ線量率を測ってこのような差が出た(ガンマイレブンの方が過大評価)というわけではありませんので,
グラフを見るとき誤解が無いようにお願いします.
元データ(測定値の差は測定条件の違いによるものです)
ガンマイレブンで,5回平均を取って測定した場合は,次のようになります.
元データ(測定値の差は測定条件の違いによるものです)
同様に10回平均だと次のようになります.
元データ(測定値の差は測定条件の違いによるものです)
やはり10回程度平均すると近しいばらつきになります.
他の測定器との線量率の比較をしてみました.
詳しくは別ページにまとめてありますので,そちらを参照して下さい.
線量率の変動比較・第10回 (2012/12/02)
先ほどのばらつきの測定結果から,感度を逆算で求めてみたところ,以下のようになりました.
スペック上の感度 (cpm/μSv/h) |
本ツールで推定した感度 (cpm/μSv/h) |
データ数 | 結果リンク |
---|---|---|---|
100 | 133.267 | 372 | 結果リンク |
100 | 160.639 | 289 | 結果リンク |
60秒移動平均を10秒毎に更新するので,線量率が大きく変化すると,10秒毎に数値が上がっていきます.
また,画面下のバーグラフは5秒後と更新ですので,汚染を探す場合などはバー表示の方が便利です.
ただし,バーの表示範囲は0~1.6μSv/hなので,それより高線量の場合は線量率の数値の方で見る必要があります.
前半でセシウム137線源(約1μSv/h),後半で複数の線源(約11μSv/h)を近づけてみています.
鉛ブロックの中に測定機を入れて,線量率を何度か読み取ったところ,
0.02μSv/h となりました.
ガイガー管の機種は自己ノイズが多く,シンチレーションの機種では大抵0.00μSv/hに近い表示になると思っていたのですが,
この機種はシンチレーションで0.02μSv/hと少し高めのようです.
自己ノイズなのか,校正の都合なのかはわかりませんが,室内の線量率0.06μSv/hでRadiと結果が一致していることから,
低線量でズレが大きいというわけでもなさそうです.
鉛から出ている放射線も測定されやすいとか,何か原因があるのかもしれませんが,
そこまではわかりませんでした.
安価な機種のエアカウンターEXなどでは,測定器を振ると盛大に線量率が上がるという動画がありました.
この機種ではどうなるかと,測定器を振ったり,ソフトカバーの上から軽く振動を与えてみたりしましたが,
特に線量率が変化するような動作はみられませんでした.
説明書には振動や衝撃を与えないように,と記載されていますし,振動や衝撃は避けるべきですが,
普通に測定器を持って使う分には十分な耐性があると思います.
同じ価格帯の測定器が少ないので比較しづらいですが,比較的小さく(薄く),
年間線量率の表示機能などがあるところは良い所です.
シンチレーション式ではありますが,感度はあまり高くなく,大きめのガイガー管を搭載した機種くらいですので,
シンチ式ということでの高感度はあまり期待できないのが残念なところです.
価格と感度を比較すると,ちょっと高めかなと感じました.(^^;