Adaptive Prediction
Adaptive Prediction(適応予測)は、過去の音声から入力波形を予測する方法を学習します。予測しやすい成分を減らす、予測音そのものを聴く、予測音を自己帰還させて独自に変化する共鳴音を作る、といった用途に使います。左右のチャンネルは別々に学習します。
Residual は原音から予測音を引いた音です。学習が進むと繰り返す音が残差の中で小さくなり、変化や予測しにくい細部が目立つようになります。Autonomy を 0 より大きくすると、予測音は自分が生成した音の影響も受けます。1 では生成経路への外部入力が切り離されますが、Freeze しない限り学習は外部入力を使って続きます。
聴き方とシステムプリセット
エフェクト見出しの エフェクトプリセット から出発点を選びます。プリセットを切り替えても、動作中のエフェクトがすでに学習した内容は保たれます。
| プリセット | Gap | Autonomy | Original / Residual / Prediction | 主な用途 |
|---|---|---|---|---|
| Surprise(初期設定) | 1 ms | 0 | 0 / 1 / 0 | 予測しやすい音を減らし、変化する細部を聴きます。 |
| Prediction | 5 ms | 0 | 0 / 0 / 1 | 原音を学習済みの予測音に置き換えます。聞こえる音量の入力を数秒間流して学習させます。 |
| Resonator | 10 ms | 0.98 | 0.6 / 0 / 0.6 | 原音に、音楽の影響を受けながら変化する共鳴音を混ぜます。 |
| Hold | 10 ms | 1 | 0 / 0 / 1 | 学習を止め、すでに学習したモデルで自律発音させます。 |
最初は持続音や繰り返しのある音楽を Surprise で再生し、Prediction に切り替えて比較します。自律発音を試すときは、まず Prediction で学習させてから Hold プリセット、または Hold チェックボックスを使います。Hold が固定するのは予測の規則です。音高、音色、音量はその後も変化したり減衰したりするため、音符の保持や録音のループ再生とは異なります。未学習の状態や Reset 直後の状態では、無音から自律発音を始めることはできません。
パラメータ
Gap (ms) — 予測に使う波形情報から直近の 0~500 ms を除外します(初期値 1 ms)。大きくすると、より古い履歴から予測するため、音色や予測の精度が変わります。0 でも現在より前のサンプルを使います。出力の遅延や録音窓の長さではありません。変更しても学習済みモデルは保たれ、新しい距離に再適応します。
Learn — 入力への学習の追従速度を 0~0.1 で設定します(初期値 0.02)。大きいほど速く適応し、小さいほどゆっくり変化します。0 では誤差に基づく学習を止めますが、有限の Weight Decay を設定している場合は学習済み係数の減衰が続きます。
Weight Decay (s) — 学習中に係数が減衰する速さを 0.5~60 秒で設定します。短いほど過去の学習の影響が早く弱まり、長いほど長く残ります。音声履歴の長さではありません。
Infinity — Weight Decay を無効にします(初期設定はオン)。オフにすると Weight Decay の時間を使います。
Autonomy — 外部入力からの予測と自己帰還による生成を 0~1 で混ぜます(初期値 0)。大きいほど生成音自身の影響が強くなり、1 では生成経路に自分の帰還音だけが入ります。出力ミックスの音量は帰還量を変えません。
Original / Residual / Prediction — 各成分の符号付きゲインを −2~+2 で独立に設定します。初期値は 0 / 1 / 0 です。0 は消音、正は加算、負は極性反転です。絶対値が 1 を超えると音量を増やします。ミックスの自動正規化はありません。Residual = Original − Prediction なので、0 / 1 / 1 にすると、出力ピーク制限をかける前の信号は原音に戻ります。
Freeze — 学習と Weight Decay を止めます。音声処理や発音は続き、オフにすると学習を再開します。
Hold — Freeze と Autonomy 1 をまとめて有効にします。有効中はそれらの操作子が無効になり、Hold をオフにすると個別の設定に戻ります。
Reset — 学習済み係数、動作中の状態、音声履歴を消去します。操作子の設定は変えません。予測音は無音から始まり、再び学習が必要です。
外部入力が −60 dBFS 未満のときは、学習と Weight Decay が止まり、無音によって学習内容が消えることを防ぎます。この判定には生成音を使いません。学習済み係数と動作中の音は一時的なもので、プリセットには保存されません。エフェクトを作り直した場合は再学習が必要です。有効な間は、学習した音を保つために無音中も処理を続けます。使わないときはバイパスしてください。
思ったとおりの音にならないとき
Prediction や Hold が無音の場合は、Hold と Freeze をオフにし、Learn を 0 より大きくして、聞こえる音量の入力を流します。Autonomy は 0 から始めてください。
共鳴が強すぎる場合は、Prediction または Autonomy を下げます。出力ピーク制限はサンプルのピークを抑えますが、大きいミックス設定では音色が変わることがあります。
処理に問題が起きたというメッセージが出た場合は、Reset を押して音声を流し、もう一度学習させてください。
mImageViewer の同梱 VST 版では、Adaptive Prediction は native 音声処理を使います。WebAssembly の有効化操作は不要です。エフェクトのルーティングでは、1 チャンネルまたはステレオペアを選びます。