IR Reverb
取り込んだインパルス応答(IR)と信号を畳み込み、実測した部屋やホール、プレートなどの減衰と空間特性を再現します。合成リバーブではなく、特定の収録環境の響きを再現性高く使いたい場合に適しています。
音質調整ガイド
控えめな部屋鳴り: 短いルームIRを読み込み、DryをON、Dry Levelを0 dBに保ち、Wet Levelを-18~-12 dB程度にして、短いPre Delayを加えます。録音の明瞭さを保ちながら奥行きを足せます。
コンサートホールの広がり: ステレオまたはTrue StereoのホールIRを使います。まずWet Levelを低めにし、テールが長すぎる場合はDecayとTrimで整えます。
センド/リターン: Matrixで別バスへ送り、そのリターンにIR Reverbを置き、DryをOFF、Wet Levelを0 dBにします。残響量はセンドレベルで調整します。こうするとドライ音が二重になりません。
比較と再現: 元のIRファイルと出典・ライセンス情報を保管してください。同じファイルを読み込めば同じライブラリIDになり、別環境でも正確に再リンクできます。
パラメーター
Channel Mode - IRチャンネルの割り当て方を選びます。Autoでは、1チャンネルIRをMono、ステレオ選択時の4チャンネルIRをTrue Stereo、IR数と選択チャンネル数が一致する場合をIndependent、それ以外をDiagonal Matrixとして扱い、実際に選ばれたモードをメニューの右に表示します。Monoは1つのIRを選択チャンネルへ適用、Independentは各選択チャンネルへ別々のIRチャンネルを割り当て、True StereoはLL/LR/RL/RRの4経路、Diagonal Matrixはクロスフィードなしで同じ番号の入出力を結びます。
Latency - 畳み込みのブロックレイテンシー(Zero、128、256、512、1024 samples)を選びます。大きい値ほど処理負荷を抑えやすい一方、エフェクト出力全体が遅れます。原音も同じだけ遅らせて残響と時間軸を揃えており、この遅延はパイプライン側で補正されます。ZeroではConvolution Rate = Fullが必要です。
Convolution Rate - wet畳み込みの処理レートです。Autoは高いコンテキストレートでHalfを使い、実際に選択されたレートをメニューの右に表示します。Full、Half、Quarterは固定指定です。低いレートほど処理負荷は下がりますが、wet音の帯域も狭くなります。Quarterには176.4 kHz以上が必要です。
Wet Level - 畳み込み音のレベル(-96~+12 dB)です。デフォルトは通常のインサート用途に合わせた-15 dBです。センド/リターンでは0 dBに設定し、センドレベルで残響量を調整します。
Dry - 原音の有効・無効を切り替えます。デフォルトはONです。OFFにするとDry Levelの設定値を保持したまま原音を完全に除けます。
Dry Level - DryがONのときの原音レベル(-96~+12 dB)です。-96 dBに設定しても原音をミュートできます。
Pre Delay - wet音だけを0~500 ms遅らせ、元のアタックと部屋の響きを分離します。
Direct Cut - IRから検出した直接音を除き、残響部分だけを畳み込みに使います。正規化の基準にはカット前のIRを使うため、Direct Cutを有効にしても残った残響成分の音量は持ち上がりません。
Cut Offset - Direct Cutの検出位置を-20~+50 ms補正します。
Decay - IRの減衰を10~400%へ変形します。100%は収録時のまま、低くすると短く、高くすると長くなります。
Trim - 直接音カット後のIRを1~100%の範囲でフェード付き短縮します。短くするほどテール、CPU負荷、メモリー使用量が減ります。
Decayグラフの読み方
横軸は時間、縦軸は0~-90 dBのレベルです。実線のEDC(エネルギー減衰曲線)は残響エネルギーの減り方を示し、傾きが急なほどテールが短くなります。薄い波形は過渡成分の目安です。マーカーは検出したonset、現在のcut位置、wetのpre-delay、trim位置を示します。RT60は60 dB減衰する推定時間で、算出に適した範囲がないIRでは「利用不可」と表示されます。Decayが100%以外の場合は、変形後の実線と元の点線を比較できます。グラフにマウスを重ねるか、タッチしてなぞると、その位置の値を読み取れます。
ルーティング、ライブラリ、共有
Mono IRは選択チャンネルに適用でき、IndependentではIRチャンネルを独立して保ちます。4チャンネルTrue Stereo IRはLL/LR/RL/RRのクロス経路を使います。Autoでは、ステレオ選択時の4チャンネルIRをすべてこの順序として解釈するため、Quadなど別構成の4チャンネルIRではIndependentまたはDiagonal Matrixを明示的に選んでください。それ以外のマルチチャンネルIRは経路数を制限したDiagonal Matrixとして扱い、サラウンド全組み合わせのクロスフィードは作りません。2ファイルのTrue Stereoは、名前末尾がL/RまたはLeft/Rightで対応するファイルを同時に選びます。
取り込んだIRファイルはインパルス応答ライブラリに保存され、元のファイル名で検索、読み込み、削除ができます。複数をまとめて削除するには、チェックボックスで選択するか、Ctrl+Aで現在表示されている項目をすべて選択してから、選択項目を削除を選びます。WAVデータを格納した拡張子.irsのファイルは、名前を変更せずそのまま取り込めます。mImageViewer では、取り込んだIRも %APPDATA% 内の EffeTune 用の保存領域に置かれます。mImageViewer のデータフォルダーを変更しても移りません。設定の保存先もご覧ください。必要なIRは別途保管してください。
共有URLとプリセットはIRを識別する情報だけを含み、音声データ自体は含みません。IRを利用できない場合はwet音が出ないため、同じIRを再度取り込むか選び直してください。別のIRに置き換えることもできます。原音はDryとDry Levelの設定に従います。
無料で入手できるIRは、York大学のOpenAIR、EchoThiefのダウンロードページ、Freesound内の個別IRなどから探せます。ただし「無料」は無条件利用を意味しません。OpenAIRはコンテンツごとにライセンスが異なり、FreesoundにもCC0、CC BY、CC BY-NCがあります。ダウンロード元で対象ファイルの条件を確認し、作者・出典・ライセンスをファイルと一緒に保存してください。必要なクレジットを表示し、商用利用や再配布が許可されているかも確認してください。EffeTuneはライセンス情報を保存または検証しません。