Rhythm Analyzer
音楽のテンポを求め、ドラムや楽器の発音がどこに来ているか、各パートがビートに対してどれだけ前後しているかを1拍ずつ表示します。曲の BPM を調べる、グルーヴのスウィング具合を確かめる、スネアがビートより後ろに置かれているかを見る、フィルインやパターンの変わり目を見つける、といった使い方ができます。Metronome Click をオンにしない限り、音声は変えません。
活用ガイド
テンポを確かめる:ビートのはっきりした一定のテンポの曲を再生します。数秒でヘッダーに BPM と LOCKED が表示され、テンポグラムの帯には同じテンポが adopted として示されます。アナライザーは、足でリズムを取る拍とは別の単位の拍を追うことがあるので、ヘッダーの ×½、×2、strongest も見てください。そのどれかが足で取るリズムに合うなら、それが感じているテンポです。
ビートの位置を耳で確かめる:Metronome Click をオンにすると、検出したビートごとにクリック音が鳴ります。足でリズムを取る位置にクリックが重なれば、ビートを正しくとらえています。足の動きの間に鳴る場合や、倍・半分の速さで鳴る場合は、アナライザーが別の拍の位置や単位を追っています。下の 倍テンポや半テンポでのロックを直す と 制限事項 を参照してください。
クリックを使うときは最後に置く:クリック音はアナライザーから出る音声に混ぜられるので、後ろにあるエフェクトはクリック音にもかかります。クリックを聴くときは、Rhythm Analyzer をエフェクトチェーンの最後に置いてください。
クリック音も再生・配信される:Metronome Click がオンのときはクリック音が mImageViewer の再生音とリモート配信にも加わります。解析結果を見るだけならオフにしてください。
倍テンポや半テンポでのロックを直す:ゆったりしたバラードが倍のテンポでロックした場合は、Max BPM をその値より下げます(60 BPM のバラードなら 100 など)。速い曲が半分のテンポでロックした場合は、Min BPM をその値より上げます。範囲を変えると解析は最初からやり直しになります。
安定したグルーヴを読む:打ち込みやクリックに合わせた演奏では、点が各レーンの中央近くに並び、jitter は 0 ms 付近にとどまります。あるパートがほかのパートより一貫して遅れたり先行したりしていると、そのパートの点は毎回同じ位置でレーンの中央より上か下に来ます。たとえばスネアがキックとハイハットより 15 ms 遅れていれば、2拍目と4拍目の Mid の点がレーンの中央より上に出て、ビートレンズの 1 の列には +15 の付いた Mid の印が出ます。
スウィングを読む:swing は裏拍の遅れ具合を示します。1.00:1 がイーブン、2.00:1 が3連符のシャッフルで、その間の値は軽めのスウィングです。はっきりスウィングしている曲では、ビートレンズは裏拍の発音を & ではなく ⅔ の列に置きます。
フィルインや展開の変わり目を見つける:1スパン前にも2スパン前にも同じ帯域が同じ位置で鳴っていなかった発音には、リングが付きます。同じパターンが繰り返されている間はリングがほとんど出ず、フィルインや新しいセクションの最初の小節ではたくさん出ます。メインのレーンの下にあるエコー行で、新しいパターンをそれまでのパターンと見比べられます。
searching と表示されたとき:ビートがはっきりしない間は、ヘッダーに searching と、括弧付きで最後にロックしていたテンポが表示されます。レーンは網掛けの中でそのテンポのままスクロールを続け、発音はタイミングを持たない白抜きの円で描かれます。アナライザーは、ビートを確信できる状態が1拍分続いたところでロックします。ビートのはっきりした一定のテンポの曲なら数秒でロックしますが、クラシックやルバートのかかった演奏では、もっと時間がかかることがあります。音楽が止まると0.5秒以内にビートの表示をやめ、音楽が戻れば再びロックします。
パラメーター
Min BPM(40~192、初期値 40)- ロックするテンポの下限を設定します。感じているテンポの半分にロックするときは上げます。
Max BPM(50~240、初期値 240)- ロックするテンポの上限を設定します。感じているテンポの倍にロックするときは下げます。アナライザーは Min BPM から Max BPM までのテンポにだけロックしますが、曲が速くなったり遅くなったりすると、表示されるテンポが範囲から少しはみ出すことがあります。Max BPM は常に Min BPM の1.25倍以上に保たれ、変更によってこの関係が崩れる場合はもう一方の値が自動的に動きます。どちらかを変えると解析は最初からやり直しになります。テンポグラムの帯は常に 30~480 BPM を表示し、×½ と ×2 の線は設定した範囲の外に来ることもあります。
Metronome Click(オン/オフ、初期値 オフ)- 検出したビートごとに、短く高いクリック音を通過する音声に加えます。クリックはロックしている間だけ鳴り、searching に戻ると止まります。クリックの音量は約 −10 dBFS に固定で、チャンネル1と2(モノ入力ではチャンネル1)に加わり、ほかのチャンネルは変わりません。オフのときは、音声はそのまま通過します。オン・オフを切り替えても解析はやり直しになりません。
Span (beats)(4、6、8、12、16、初期値 8)- メインのレーンとエコー行の1行に何拍を表示するか、またリングを付けるときに何拍前と比べるかを設定します。変わるのは表示だけで、解析には影響しません。小節の区切りに合う値にすると、繰り返すパターンがエコー行の間でそろいます。たとえば 4/4 拍子の2小節なら 8、3/4 拍子の2小節なら 6 です。
Tempogram、Timing lanes、Echo rows、Beat lens(オン/オフ、初期値 オン)- テンポグラムの帯、メインのレーン、エコー行、ビートレンズをそれぞれ表示するか隠すかを切り替えます。残りの部分が空いた場所に広がり、ヘッダーは常に表示されます。隠しても変わるのは表示だけで、解析は続いており、オンに戻すとその部分はそれまでの履歴ごと再び表示されます。
表示の見方
表示は、ヘッダー、テンポグラムの帯、メインのレーン、エコー行、ビートレンズの5つの部分からなります。横長の表示ではビートレンズがレーンの右に並び、縦長の表示ではすべての部分が上から順に積み重なります。チェックボックスで部分を隠すと、残りの部分が空いた場所を埋め、ヘッダーは常に残ります。発音は3つの帯域に分けられます。Low(キックとベース)、Mid(スネア、声、多くの楽器)、High(ハイハットとシンバル)です。どの帯域も同じ色で描かれ、レーン、エコー行、ビートレンズでは帯域ごとに行が分かれて、High が上、Low が下に並びます。軸の名前、目盛りの数値、行の名前(High、Mid、Low)はグラフに重ねて描かれます。表示は拍だけを数えるもので、小節や1拍目は検出しません。
ヘッダー:
BPM の左のビートランプは、アナライザーが予測したビートごとに点灯してすぐに消えていくので、どのビートを追っているかが目で分かります。Metronome Click も同じビートで鳴ります。小節の頭が分からないため、どのビートも同じように点灯します。searching の間は、ランプは中の空いた輪になります。
ビートを追えている間は BPM と LOCKED を表示します。見つけられていない間は searching と表示し、最後にロックしていたテンポを (N BPM held) として添えます。
×½ と ×2 - 表示中のテンポの半分と倍です。
strongest - その時点で音楽の中で最も強く繰り返しているテンポです。ロックしたテンポと同じことが多く、異なる場合は有力な別の候補です。
swing - 直近32拍の典型的な裏拍の位置から求めた、1拍の前半と後半の比です。1.00:1 がイーブン、2.00:1 が3連符のシャッフルです。
jitter - ビートレンズの中で、発音が平均の位置のまわりで不規則にばらつく典型的な幅です(ms)。打ち込みのようにタイトなパートでは 0 付近になり、ルーズな演奏ほど大きくなります。
記号の凡例です。○ no beat lock、◎ new vs N / 2N beats ago、破線を表す beat re-aligned があります。
まだ値が求まっていない項目は — と表示されます。
テンポグラムの帯:直近20秒を表示します。横軸 Time は時間(左から右)、縦軸 Tempo (BPM) は 30~480 BPM の対数目盛りのテンポで、その数値は左端に並びます。明るさは、音楽がそのテンポでどれだけはっきり繰り返しているかを表します。明るく描かれるのは、はっきりした強い繰り返しだけです。繰り返しが弱いときや不明瞭なときは薄く表示され、無音のあいだは暗いままです。拍の半分や倍など関連するテンポも、薄い線として現れることがよくあります。ロックしている間は、実線がロックしたテンポを、破線がその半分と倍を示し、右端のそれぞれの線のすぐ上に adopted、×2、×½ と記されます。アナライザーがビートに確信を持てないほど、これらの線は薄くなります。
メインのレーン:Span (beats) で決めた直近の拍数分を表示し、最新の発音が右端に来ます。見出しは Last N beats です。レーンは実線で帯域ごとに区切られた3つのタイミンググラフで、それぞれ左端に帯域の名前が付き、横軸が Beats、縦軸が Timing (ms) です。縦線は拍を、薄い縦線は8分音符を表し、ロックしていた区間にだけ描かれます。点は検出した発音1つ1つで、レーンの中央から伸びる縦棒の先に描かれ、発音だという確信が強いものほど大きくなります。
レーンの中での点の高さはタイミングを表します。レーンの中央(0 ms)より上は遅れ、下は先行です。+20、−20 と記された点線が ±20 ms の位置を示し、±30 ms を超える発音はレーンの端にとどまります。タイミングは最寄りの16分音符または3連符の位置(音楽が従っているほうのグリッド)からのずれで、直前16拍の典型的なタイミングを基準に表示します。そのため全パートに共通する一定の遅れは表示に現れず、レーンには各発音が最近の平均からどれだけずれているかが示されます。
白抜きの円は、ビートにロックしていないときの発音です。タイミングを持たないため、レーンの中央に置かれます。
点のまわりのリングは、1スパン前にも2スパン前にも同じ帯域が同じ位置で鳴っていなかった発音を示します。リングはロックや合わせ直しから1スパン後に出始めます。
searching と書かれた網掛けは、ビートにロックしていなかった時間を示します。
破線は、ロックを保ったままビートのグリッドを合わせ直した位置です。アナライザーが新しいテンポに切り替えたときや、拍の位置をずらしたときに入ります。ビートレンズ、swing、jitter はそこから集計し直しになります。
エコー行:Span (beats) の拍数を1サイクルとして、サイクルごとの区間を新しいものを上にして積み重ね、行の間を線で区切ります。横軸は Beats、縦軸 Cycles ago は各行が何サイクル前かを示します。メインのレーンを表示している間は、行は1サイクル前から始まって 1、2、…と番号が付き、見出しは Previous N-beat cycles になります。メインのレーンを隠すと、いちばん上の行は現在のサイクル(0)になって見出しが Recent N-beat cycles に変わり、余裕があればその行に帯域の名前が付きます。拍が縦にそろうので、サイクルごとに繰り返すパターンは縦の列になり、変化があるとその列が乱れます。エコー行には各発音の帯域(行の中で High が上、Low が下)は表示されますが、タイミングは表示されません。白抜きの円、リング、網掛け、破線の意味はメインのレーンと同じです。
ビートレンズ:現在のロックまたは合わせ直し以降の、直近32拍のタイミングをまとめて表示します。列は1拍の中の位置(横軸 Position in beat)で、1(拍の頭)、16分音符の e、&、a、3連符の ⅓、⅔ があります。帯域ごとに1行ずつ並び、左端に帯域の名前が付きます。
縦の印は、その帯域がその位置で平均してどれだけ早く(左)または遅く(右)鳴っているかを示します。上端の目盛りは ±30 ms の範囲で、±20 ms に刻みがあります。印のまわりの薄いバーはばらつき(±1標準偏差)です。印が濃いほど、その位置でよく鳴っています。発音が4つ以上ある位置だけが表示されます。
値が更新されると、印の位置とバーの幅は新しい値へ滑らかに変わり、近づくほど動きがゆっくりになります。
ずれはアンサンブル全体を基準に測るので、全員がそろって鳴っていれば、どの印も中央に来ます。レンズが示すのはパート同士のずれです。
3 ms 以上のずれには ms の値が付きます。帯域間のタイミング差は約 3 ms 未満では確実に測れないため、それより小さいずれは値を付けずに描きます。
ロックしていない間は、レンズに waiting for a steady beat と表示されます。
LOCKED の表示とテンポの線の濃さは、アナライザーがビートをどれだけ確信しているかを示すもので、演奏のタイトさを示すものではありません。タイミングのルーズさは、点の高さ、jitter、レンズのバーだけが示します。
Reset ボタンを押すと表示を消去して解析を最初からやり直します。別の曲に切り替えたときなどに使います。
ステレオ入力は先頭2チャンネルの平均を解析し、モノ入力はそのまま使います。
ビジュアル表示
表示にマウスを重ねるか、タッチしてなぞると、その位置の値を読み取れます。レーンとエコー行では、その位置が何拍前かと、最も近い発音の帯域とタイミング(白抜きの円では —)を表示します。テンポグラムの帯ではカーソル位置のテンポと時刻、Salience(そのテンポでの繰り返しの強さで、100%ははっきりした強い繰り返しを示します)、採用テンポの Adopted を、ビートレンズではその位置での各帯域のずれとばらつきを表示します。
制限事項
テンポの揺れが大きい曲、リズムセクションのない曲、アコースティック演奏の曲では、解析の精度が下がることがあります。 打楽器のない静かな曲でテンポが自由に揺れるもの、アンビエント、持続音は searching のままになります。ピアノ独奏やクラシックなど、表情豊かに演奏された録音の中には、最後までロックしないものもあります。
聴き手が選ぶのとは別の拍の単位に落ち着き、ランプとクリックが感じているテンポの2倍、1/2倍、2/3倍、3/2倍などで動くことがあります。クラシック、ルバートのかかった演奏、その他一部の曲では、一定のビートの曲に比べて、ロックまでに時間がかかり、一時的に別の単位へ移ることも多くなります。×½、×2、strongest で考えられる別のテンポ候補を確かめられます。検出したテンポや拍の位置が合わない場合は、Min BPM と Max BPM を想定するテンポの周辺に絞って、もう一度試してください。
クラーベのようなまばらなリズムパターンでは、ビートが裏拍にロックすることがあります。
だんだん速くなる曲や自由にテンポが揺れる演奏のように、テンポが連続して変わる場合は、ビートが少し遅れて追いかけます。テンポが落ち着くまで、クリックがわずかに早めや遅めに鳴ることがあります。
一定のテンポの曲でも、音楽が変わっていないのに、ときどきビートの位置が合わせ直されることがあります(破線で示されます)。
音の密集したミックスやノイズの多い録音では、Mid と High のレーンに、実際には楽器が鳴っていない位置の点が増えます。Low のレーンでは、ピアノの低音を取りこぼすことがあります。
小節や拍子は検出しません。表示は拍だけを単位に並べたもので、小節の頭は示しません。
本来の解析が動作するサンプルレートは 8、11.025、16、22.05、24、32、44.1、48、88.2、96、176.4、192、352.8、384 kHz です。それ以外のサンプルレート(64 kHz など)では簡易的な方法で解析するため、ビートと発音の精度が下がり、音楽が止まってもビートが数秒間表示されたままになります。