SBC Codec Simulator
SBC Codec Simulatorは、選択したチャンネルをリアルタイムのSBC分析、ビット割り当て、量子化、合成処理に通します。Bluetooth A2DPで必須の基本コーデックが、高域の細部、音色の質感、トランジェント、ステレオ像をどう変えるか確認するためのエフェクトです。Packet Lossは既定値では完全にクリーンで、上げると実機のBluetoothリンクと同じ音途切れを再現します。
読み取り専用のBitrateには、現在のBitpool、Channel Mode、Blocksから得られるストリームレートが表示されます。設定の比較に使ってください。Bitpool自体はビットレートではありません。
プラグインにエフェクトを利用できないと表示された場合は、別のサンプルレートまたはチャンネルモードを試してください。利用可能になるまでは入力音を変更しません。
音質調整ガイド
標準的なSBC処理を比較する: Bitpool 35、Joint Stereo、16 Blocks、Mix 100%から始めます。シンバル、持続音、打楽器、広いステレオ録音でバイパスと比較してください。
コーデック由来の変化を聴き取りやすくする: Bitpoolを12~20程度まで下げます。8つのサブバンドに割り当てられる量子化ビットが減るため、高域の細部や音色の残差が目立ちやすくなります。
ステレオの割り当てを比較する: Bitrateを見ながらJoint StereoとStereoを切り替えます。Joint Stereoは相関の高いステレオ素材を効率よく符号化でき、Stereoは左右のサブバンドを別々に保ちます。
SBC XQを再現する: Channel ModeをDual Channelにし、Bitpoolを38にすると一般に「SBC XQ」と呼ばれる構成、47にすると「SBC XQ+」相当になります。44.1 kHz系の音源ではBitrateがそれぞれ452.0 kbit/s、551.3 kbit/sと表示され、よく知られた数値と一致します。Bitpool 53では617.4 kbit/sとなり、本シミュレーターで出せる最大レートです。いずれもA2DPの推奨範囲を超えた設定ですが、高ビットレートのSBC送信機が実際に送っている構成であり、バイパスとの区別が最も難しくなる領域です。
フレームの追従性を比較する: Blocksを16から4へ変更します。短いフレームはスケールファクターの更新頻度が上がりますが、固定オーバーヘッドの割合も増え、表示されるビットレートも変わります。
無線の音途切れを加える: Packet Lossを5~20%程度まで上げると、フレームがバースト的に失われ、隠蔽処理が減衰していく様子を聴き取れます。クリーンな比較をしたいときは0%のままにします。
原音と混ぜる: SBCの質感を控えめに加えたい場合はMixを下げます。原音側はコーデック処理側と同じ遅延に揃えられます。
パラメーター
Bitpool — SBCフレームごとの量子化ビットの予算を2~53で設定します。
Joint StereoとStereoはこの予算をステレオペアで共有し、Dual Channelは各チャンネルに別々に割り当てます。値を下げるほど、使えるビットが少ない、またはまったくないサブバンドが増え、コーデック由来の変化が強くなります。Bitpoolはkbit/sを直接示す値ではありません。Channel Mode —
Joint Stereoは、必要なスケールファクターを減らせる場合に相関の高いサブバンドを和差で符号化します。Stereoは左右のサブバンドを別々に扱います。この2つは先頭のステレオペアで1つのBitpoolを共有し、Joint Stereoは単純なモノラル化ではありません。Dual Channelは各チャンネルにBitpool満額の独立した割り当てを行うため、フレーム長とビットレートがおおよそ2倍になります。これが「SBC XQ」と呼ばれる構成の実体で、左右が独立に量子化されることでステレオ像の揺らぎ方もJoint Stereoとは変わります。Blocks — SBCフレームあたりのサブバンドサンプルブロック数を4、8、12、16から選びます。少ないほどフレームが短くなり、音声データに対する固定オーバーヘッドの割合が増えます。多いほどスケールファクターの更新間隔が長くなります。
Bitrate — 現在のストリームレートをkbit/sで表示します。Bitpool、Channel Mode、Blocks、サンプルレート、またはモノラル/ステレオのルーティングを変えると更新されます。
Packet Loss — Bluetoothリンクのパケットロス率を0~20%で設定します(既定0%)。0%では欠落は起こりません。値を上げるほどSBCフレーム単位のバースト性欠落(Gilbert-Elliottモデル)が増え、隠蔽処理が直前フレームを繰り返しながら減衰して無音へ移行するため、実機同様の音途切れになります。
Output — 復号後の音量を-24.0~+12.0 dBで調整します。コーデックフィルターのオーバーシュートでピークが高くなる場合は下げてください。
Mix — 遅延を揃えた原音と復号結果を0~100%で混ぜます。